「ダークナイト ライジング」
あの第一作からこんな凄い続編が出来たのか! とデングリ返る面白さだった前
作からの第三作ですから〜そりゃ期待しますやねぇ。
感想はオレも大方皆さんと同じですね。でも充分楽しかったですよ、そもそも観ずにいら
れなかった訳だから(笑)。
けど冒頭の飛行機乗っ取りでワクワクさせてから〜バットマンが登場するまでが長いです
ねぇ。退屈して隣のおじさんは寝ちゃってました。
しかしストーリーが進み、暗躍する悪の目的が明らかになってくるとともにエスカレート
していくアクションは、相変わらずハンス・ジマーのズンズンな音楽に乗って、怒涛のノー
ラン監督の真骨頂ですねぇ♪
しかし、いかんせんゴッサムシティを滅亡させようという悪玉の動機が釈然としないし、
新しい世界を作る為にと言っても自分も死ぬ訳だから、観客としては悪役として憎みきれな
い部分がある。
その点前作のジョーカーは悪として超然としてたから燃えたのだ。
街に核爆弾を持ち込んで権力者たちを黙らせ「権力を市民に返す」というのも、刑務所か
ら解放した囚人たちや貧富の差に不満を持つ下層階級の市民に暴動を起こさせただけで、ゴ
ッサムシティがそんな問題を抱えてたというのも聞いてないので展開に違和感がある。
考えてみると街を壊滅しようとする爆弾も町を蹂躙する兵器もバットマン君の会社から奪
われた訳で、そもそも自分がそんなの作ってたのが悪いんじゃん? とか思ってしまった。
それとまさか遠い昔の渡辺謙さんの出た第一作に話が絡んでるなんて思いもしませんでし
たねぇ「バットマンビギンズ」の内容なんてもう忘れちゃってるし、リーアム・ニーソン親
分のことも、前作でも触れられてなかったんじゃないかな。
なので考えてみれば物語上は重要なハズのどんでん返し、カミング・アウトにもサプライ
ズがない、さしたる伏線も貼られていないし、少しの説明だけで「あの人の娘なのよ」とか
言われても「あ〜そうですか」と何の感慨も沸かないのでは本末転倒だ。
最後にあきらかにされる悪役の素性も陳腐&説明だけでなんだかな〜って感じだ。
前作のように前後の設定なんか無視して独立した面白さを期待してましたからねぇ、作り
手側が凝り過ぎたんじゃないかな。
今回「マッドマックス2」のヒューマンガスみたいな悪役は、マスクで顔が見えない分演
じる役者はやりがいが無くて可哀想。
他の役者陣ではゲイリー・オールドマンが抑えた芝居で良いですねぇ、この人が主人公で
普通に刑事物が観たくなります。
キャットウーマンは本当劇中悪役のセリフじゃないけど「いい尻だな」。
それとあの「メンフィス・ベル」「ウィンズ」「フルメタルジャケット」で絵に描いたよな
好青年だったマシュー・モディンがヘナチョコな刑事になっててアレレ〜でした。
悪役とバットマンの異様に低い劇画調な喋りとか、ズンズンな音楽に乗って数々のメカが
活躍するアクションとか、総じて楽しかったけど、やっぱし惜しいのは導入部で退屈させて
しまった点かな。物語にエンジンが掛かってくるのが遅いので、そのモタモタ感が後半まで
尾を引いてしまった印象だ。